5.ティラナ~静かな衝撃と平和の風景~

朝からめっちゃ天気いい!
この日の朝ごはんは、近くの食堂に行ってみた。
Vjosa Restaurant”、歩いて2分。朝7時から営業しているらしく、アルバニアの伝統的な朝ごはん “mish fasula”(豆のスープ)を試してみたくて。

店内には、男性客が1人ずつぽつぽつと数人。
“男性専用レストラン…?”と一瞬思ったけれど、ここはイスラム教国ではないし、それはないかと自分に言い聞かせて、入りづらさを感じながらも扉を開けてみた。すると、にこやかな女性の店員さんが迎えてくれて、ホッとした。

さっそく豆スープを頼んだら、「今日はない」とのこと…。バックアップのメニューも特に考えておらず、しかもメニューは全部アルバニア語。朝からGoogle翻訳を使う気力もなかった。

おじちゃん達が全員揃って食べてたのが同じスープ、何のスープか分からなかったけど、指差して同じものを注文。すると、おじちゃんたちが揃って笑顔で“Good!”みたいなサインをくれて、これは間違いないなと確信。

運ばれてきたのは、牛肉とモツがゴロゴロ入った、トマトベースのスープ。少しクセがあったけど、美味しくいただけた。しかも、とても腹持ちのいい朝ごはん。
何も知らず、期待せずに食べるごはんって、ドッキリの経験ができるから楽しい。

今日のメインの目的地、Bunk'Art 2 。ここは中心地にもあり行きやすい。郊外にBunk’Art 1という博物館もある。1はは共産政権全体の軍事や社会をテーマ、2は冷戦時代の核シェルターを活用した博物館で、独裁国家時代の警察や監視体制の歴史が紹介されている。昨日見に行ったHouse of Leaves Museumとの関連性もあり、より理解が深まった。

特に列もなく、すんなり入ることができた。

展示の内容はとても濃く、じっくり読む価値がある。

快適な空間とは言い難い。シェルターという特性もあるけど、展示されている歴史を知るほどに心が沈む。
”悲しい”という言葉では足りないかもしれない。気分は確かに“陰”寄りになるけれど、私にとって必要な“陰”だった。

そのあとは、天気も最高だから公園でも散歩したいなと思い、調べてみたら、近くに大きなTirana Parkがあることが分かった。面積も広そうで、ちょうどいい。

実際に行ってみると、緑がたっぷりで、歩道から外れると少しハイキングしているような気分に。中央には大きな湖があって、そのまわりではたくさんの人たちが散歩したり、ピクニックをしていた。その景色を見ただけで、気持ちが一気に穏やかになる。

私もスポットを見つけて、ただ人々をぼーっと眺めて過ごす。 なんとも平和な時間だった。

つい最近まで”暗黒時代”だったティラナに、こんな風景が生まれるなんて、きっと誰も想像していなかっただろう。
今ここにいる人たちが、この平和を大切にし、守ろうとしているのが伝わってくる。全身全霊、今にひたる。

皆が平和を守ろうとしてるからこそ、特に危険を感じることもなかった。

スペインやイタリアでは、私は街を歩くとき常に荷物や周囲に警戒しているけれど、ティラナでは自然と心にゆとりが生まれていた。

そのあとはワインテイスティングへ。
ところで、アルバニアが意外にもワインの産地って知ってた?
実は世界で最も古いワイン生産地の一つとされていて、3000年以上も前からワインが作られていたらしい。

アルバニアのワインは、輸出向けの大規模生産よりも、地元消費の手作りワインが多い。だからこそ現地でテイスティングしてみたいと思った。

で、実際行ってみたら、 私のイメージするテイスティングって“一口分”くらいだけど、ここでは普通のグラスサイズよりも多め(笑)最初から”3テイスティング”で設定しておいてよかった〜!美味しい生ハムとチーズの盛り合わせで15euro!

ただ、残念ながらその日はボスが不在で、詳しい説明は受けられず。
でも気づけば、だいぶほろ酔い気分で終了。

ちなみにその後思ったのは——
ワインテイスティングって、説明付きだと価値があるなってこと。
正直このあと行った地元の食堂のワインでも、アルバニアのワインはじゅうぶんに堪能できた🎵

ティラナ写真:https://www.tabitabitabishitemasu.com/photos-1/tirana

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