6. ベラト~千の窓と、偶然のワイン~

Beratベラトへ移動。アルバニア中南部にある”千の窓の”」と呼ばれる歴史的な町で、オスマン建築と白い家々が丘に並ぶ美しい景観が、ユネスコ世界遺産に登録されているんだ。Tiranaからバスでだいたい3時間半くらい。バスは時間がけっこう適当なことが多いとネットで読んだ。10:30発のバスがあるっぽかったから、それに向けてTiranaのバスターミナルに向かった。

…とはいえ、バスターミナルと言っても大きな駐車場みたいな場所で、特にチケット売り場もなければ時刻表もなし。目的地が書かれているミニバスを見つけて、そこで確認。周りの人がひたすら”どこ行くんだ?”と聞いてきて、”Berat”と答えると案内してくれた。

"Berat"と大きく書かれたバスに近づくと運転手がいたので、荷物を預けた。日本に慣れていると引き換え券とかがないとちょっと不安になるけど、アルバニアではこれが“通常モード”ということで、一旦バスの中に座る。出発時間は10:30ではなく11:00くらいとのこと。ある程度人が集まったら出発するスタイルらしい。ざっくりだなー。でもこういうの、好き。笑

バスに乗ったら、日本語が聞こえたので振り返って声をかけてみた。日本人の奥さんとイスラエル人の旦那さんのご夫婦だった。少し話を聞いてみると、彼女は30年近くイスラエルに住んでいるそうで、日本語とヘブライ語のミックス会話(旦那さんも日本語が話せる)をしていて、なんともニッチな空間…!

バスは高速を走っていたけど、途中でバス停ではないところでもどんどん人を乗せていくスタイル。TiranaとBeratの間で、途中から乗ったり降りたりが自由にできた。シンプルだけど、高速の路肩に人が立っているのはちょっと怖い。でも意外とスムーズなオペレーション。たまに荷物だけ乗せている人もいて、宅配機能もあるのかも?と思った。

Beratのバスターミナルに到着。降りるときに料金を支払ったけど、500レク(約820円)くらいだった。そこから中心街までは公共バスで15分くらい。私のホテルはそこから徒歩5分ほど。近いから余裕だと思っていたけど、かなり荒い石畳&急坂で、一気に汗だく。スーツケースを持ち上げないと進めないほど。

そんなとき、ローカルの男性二人が話しながら歩いていて、そのうちの一人が”手伝おうか?”と声をかけてくれた。でも、日本人らしく”大丈夫!”と遠慮してしまった。本当は手伝ってほしかったけど…。そしたらその人は何も言わずに私の荷物を持ってくれて、石畳が終わるところまで運んでくれて、バイバイと言って友達と去っていった。めっちゃ嬉しかった。私の”大丈夫”という言葉を聞かずに、”これは必要だろ”って直感で動いてくれた優しさ。感謝!

ホテルに到着。Vila Malasi、2泊で約6,500円。朝食付き、ダブルベッドとシングルベッドがある大人3人でも泊まれる部屋だった。誰かと一緒ならもっと安くなるし、シンプルで清潔感もある。もちろん現金払い。このホテルも、事前にbooking.com経由で”何時頃に着くか”と連絡が来ていたので、それに合わせてスタッフが待っていてくれた。家族経営っぽくて、とても感じがよくシンプル。フロントには常に人がいるわけじゃないから、”連絡はいつでもWhatsAppでどうぞ”というスタイルだった。

一旦お散歩に出かけることに。Berat城は明日朝から行こうと思っていたので、特にプランもなくぶらぶらと。座り心地がよさそうなカフェを見つけて、本を読もうと思った。とても小さな街で、かわいらしくて、ここはさらにのんびりしている。広々とした広場には、教会とモスクが隣同士に並んでいて、ここは宗教が共存できている場所なんだと実感した。

いい感じのカフェ、Shtëpia e Kafes Gimiを見つけた。外の席に座ると、通りの向こうに小さな公園があって、チェスをしているおじいちゃん2人がめちゃくちゃ白熱していた。どちらも真剣で、一人が指を指しながら怒涛の説教、もう一人は”違うって!”と言わんばかりに首をブンブン振っていて、まるで漫画みたいなシーンだった。

私は、コーヒー一杯とTrileçe(トリレチェ)を頼んで2時間ほどゆっくり。ふんわりしたスポンジケーキに、3種類のミルクがたっぷり染み込んだ、アルバニアで人気のしっとり甘いデザート。私はミルクすぎるデザートは苦手だが苦いコーヒーとゆっくり時間かけて食べるにはぴったりのデザートだった。本を読みながらくつろがせてもらった。

夜は冷たい雨。でもお腹は空いていたので、歩いて5分ほどのところにある小さなバーレストラン "ALBI" Coffee & Food に行くことに。到着すると、なんとバスで知り合ったご夫婦とばったり!

"ちょうどあなたと電話番号交換しておけばよかったと思ってたとこなのよ!一緒に座りましょ!"

小さい街だからまた会うとは思っていたけど、まさか同じレストランで再会するとは!なんだか嬉しくなって、3人で一緒にテーブルへ。まずは赤ワインをいただきました。グラスになみなみ注がれた赤ワインは飲みやすくて、美味しくて、すぐに2杯目。外の席で、雨のBeratの街並みを眺めながら飲むワインはなんとも神秘的。寒かったけど、ワインが体をあたためてくれた。

ご夫婦はすでにけっこう飲んできたらしいけど、まだまだ元気。店主はとても素朴なおじちゃんで英語は話せなかったけど、私たちがパーティーのように飲み始めたので、とうとう噂のraki(アルバニアの蒸留酒)を持ってきた。ワインは地元で作ったものでペットボトルに入っていて、rakiは”自分が作ったやつだよ”と言いながらショットグラスでサーブ。…強い。私はちょっと無理だったけど、もう一杯注がれてしまったので、ちょびちょび、赤ワインをチェイサーにして飲んだ。

どう考えても明日つらそうだけど、景色と空気に酔ってしまって、ただただ楽しかった。気づいたら5時間くらい同じ席で飲み続けていて、私はとっても気持ちよく、小雨の中、神秘的な街をふわふわ歩いて帰った。

ベラト写真:https://www.tabitabitabishitemasu.com/photos-1/berat

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